スウェーデンのカロリンスカ医科大学は6日、今年のノーベル医学・生理学賞を、子宮頸ガンを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)を発見したドイツのハラルド・ハウゼン博士とヒト免疫不全ウイルス(HIV)を発見したフランスのリュック・モンタニエ博士ならびにフランソワーズ・バレシヌーシ博士に贈ると発表した。
授賞理由は、ハウゼン氏が「子宮頸ガンを引き起こすヒトパピローマウイルスの発見」で、モンタニエ博士らが「ヒト免疫不全ウイルスの発見」である。
ハウゼン氏は1970年代、子宮頸ガンの腫瘍から見つかるHPVと、ガンとの関連性を調査研究した。1983年にHPVの16型ウイルスの腫瘍性を発見し、翌84年には子宮頸ガン患者から採取したHPV16型と18型ウイルスの培養に成功した。
この2種類のウイルスは、世界の子宮頸ガンの約70%で見つかる。これまでにHPVは100種類以上が見つかっており、世界で年間50万人が発症する子宮頸ガン患者の99.7%がHPVに感染しているといわれている。
一方、モンタニエ氏とバレシヌーシ氏は、1981年に症例が報告された後天性免疫不全症候群に関して、患者から採取したリンパ節細胞を培養してHIVを発見した。
賞金は1000万スウェーデン・クローナ(約1億5千万円)で、ハウゼン氏が半分を受け取り、モンタニエ氏らが残る半分を等分する。授賞式は12月10日、ストックホルムで開かれる予定である。 (CNN)
ノーベル医学・生理学賞の受章者は、一件につき三人までと決められている。一つの大発見に四人ないしはそれ以上の科学者が関与していると、仲間割れや非難合戦のような面倒なことが起こることがありうる。またノーベル賞は、死んでしまった科学者には授与されないので、生きているまたは長生きすることが条件にもなる。私が文部省の海外研修生としてパリのパストゥール研究所に滞在していた時、モンタニエ先生は「ウイルス部長」であった。私が帰国してしばらくして「エイズ」が流行り出したので、モンタニエ先生がエイズのウイルスを研究していることは当時の私は知らなかった。インターフェロンの研究者にもノーベル賞が授与されるのではないかとささやかれた時期があった。しかし、インターフェロンを発見した主な科学者の二人ともが亡くなってしまった。その他の研究者は、大勢現存しているが、主演男優がいなくなったでは舞台は続かないようです。この度のノーベル医学・生理学賞は、男性二人と女性一人に授与されるので、三分の一が女性であった。
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『追記』:
ノーベル物理学賞に日本人3氏の快挙
スウェーデン王立科学アカデミーは7日、08年のノーベル物理学賞を、米シカゴ大の南部陽一郎名誉教授(87)=米国籍▽高エネルギー加速器研究機構(高エネ研)の小林誠名誉教授(64)▽京都産業大理学部の益川敏英教授(68)の日本人3人に授与すると発表した。素粒子の理論で先駆的な役割を果たしたことが評価された。日本人のノーベル賞受賞は、02年の小柴昌俊・東京大特別栄誉教授(物理学賞)、田中耕一・島津製作所フェロー(化学賞)以来6年ぶりで、3氏を含め受賞者は計15人。日本人が同じ分野の賞を共同受賞するのは初めて。
南部氏の受賞理由は、物質の最小単位である素粒子の「自発的対称性の破れの発見」。小林、益川両氏は「CP対称性の破れの起源発見」。素粒子の世界に存在する「破れ」と呼ばれる非対称性の理論化に取り組んだ3氏の業績は、理論物理学の発展に大きく貢献、初めての日本人3人同時受賞につながった。
左右対称の図形は、左右を入れ替えても形が同じ。物理法則でも、一つの状態をほかの状態に変えても不変であるとされる。しかし、超電導現象などでは、対称性が失われることがある。
南部氏は60年代にこの「対称性の破れ」を初めて素粒子の世界に導入した。これにより、物質の質量の存在が合理的に説明できるようになり、素粒子の基本理論となっている「標準理論」の基礎となった。
一方、粒子と反粒子(質量が粒子と同じで電荷が反対)の数が全く同じだと、この世界は光だけになる。そこで、小林、益川両氏は粒子と反粒子の性質にあるわずかな違いを示す「CP対称性の破れ」を理論的に説明するため、当時3種類しか存在が確認されていなかった素粒子クォークが3世代6種類以上あることが必要だとする「6元クォーク模型」を考案。両氏の名字をアルファベット順に並べて「小林・益川理論」と呼ばれた。
小林・益川理論は当時の理論物理学の常識を覆す理論だったが、その予言通り、77年までに4、5番目のクォークの存在が実証され、95年には6番目のトップクォークの存在が確定、理論の正しさが証明された。
南部氏は戦後まもなく渡米した頭脳流出組で、ノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹、朝永振一郎の両氏(いずれも故人)に続く日本の素粒子論研究者の第2世代。益川、小林両氏は名古屋大理学部の先輩、後輩で、湯川博士の協力研究者だった故坂田昌一博士門下で素粒子論を学んだ。
授賞式は12月10日、ストックホルムで開かれ、賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億4000万円)は南部氏に半分、残りの半分を小林、益川両氏に贈る。(朝日新聞)