妊婦の喫煙と胎児の染色体
妊婦の喫煙が胎児の染色体に対して、どのように影響するかを調査した報告を紹介します。内容が少し専門的で判りにくいかもしれません。
10年以上にわたり1日に10本以上喫煙している妊婦25例と非喫煙妊婦25例から定期検査時に羊水から羊膜細胞を採取し、細胞遺伝学的検査を実施しました。
その結果、染色体の構造異常の出現率に大きな差(喫煙妊婦12.1%、非喫煙妊婦3.5%)があり、程度は少し低くなるが核分裂中期の染色体の不安定性(喫煙妊婦10.5%、非喫煙妊婦8.0%)と染色体病変(喫煙妊婦15.7%、非喫煙妊婦10.1%)にも差がありました。
この調査研究では、自然発生的でない染色体上のバンドの損傷を4ヶ所以上の損傷と定義して、有意な損傷を示すバンドを探索した。
その結果、12バンドが検出されたが、喫煙者と非喫煙者で有意な損傷を示したバンドは11q23のみが統計的に有意でありました。
白血病を誘発することが知られているバンド11q23は、タバコの遺伝子毒性物質に対する感受性が特に高いようである。
母親の喫煙が胎児に与える遺伝子毒性作用について調べた研究はこれまでに殆ど存在しません。それには、この類いの研究は、対象者を募るのが非常に困難であることが関係しています。
今回の染色体異常を誘発する薬剤を使用してない喫煙妊婦と非喫煙妊婦に限定して試験を行ないました。
アルコール、コーヒーや紅茶を飲む妊婦も除外してあります。それは最終的に各25例の妊婦を確保するだけでも800回以上の面接が必要でありました。
過去の研究で、母親の喫煙が新生児白血病に関連していることが示されています。さらに新生児白血病の40~60%、小児白血病の18%、成人白血病の3~7%においてバンド11q23の分子配列が変化していることが明らかにされています。
喫煙が胎児の上皮細胞に遺伝子毒性障害を与えること、および免疫能に影響することをはじめて報告する研究です。喫煙は母親にも胎児にも障害を与える毒性物質を含むようですから、喫煙している人は喫煙の習慣を絶つ努力をしましょう。
今回の染色体に対する影響についての紹介は少し難しかったでしょうか。染色体の基礎についてもう少し学びたい人は、「理科好き子供の広場」の染色体のはなしを参考にしてください。
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