微生物 健康 生活 つぶやき

2007年9月18日 (火)

ノーベル賞に輝いたピロリ菌

1.ピロリ菌のノーベル賞
 2年前の話になりますが、2005年のノーベル医学生理学賞は、ピロリ菌発見者の二人の医科学者に贈呈されることが決まったとマスコミが伝えていました。

 受賞者は西オーストラリア大学のB.J.Marshall教授54歳とJ.B.Warren博士68歳で、受賞テーマは「Helicobacter pyloriヘリコバクター・ピロリの発見と胃炎や消化性潰瘍における役割」です。

 二人の医学者は、ピロリ菌を発見し、胃炎や胃潰瘍がピロリ菌の感染によって引き起こされること、更に抗生物質でピロリ菌は除菌できること、除菌により胃炎や胃潰瘍が治ることなどを明らかにしました。

2.ピロリ菌とは
 ピロリ菌は、正式な名称はHelicobacter pylori(ヘリコバクター・ピロリ)で、1981年に胃炎や胃潰瘍の患者の胃材料から分離された細菌です。

 1~2μmのラセン状のグラム陰性桿菌で、菌体の端に極多毛性の鞭毛を持ち、これをスクリューのように回転させて活発に動き回っています。

 ピロリ菌は、尿素を分解するウレアーゼという酵素活性が病原細菌の中では最も強い菌です。

 胃には強い胃酸があるため普通の細菌は生きらませんが、ピロリ菌は強力なウレアーゼ活性を持つので、強い酸性状態の胃の中でも、尿素を分解してアンモニアを作り、pHを中性に保ちながら生存し増殖しているようです。

 産生されたアンモニアは、白血球が産生する次亜塩素酸と反応して、モノクロラミンになり、これが細胞に強い障害を与えます。

 次は3.ピロリ菌の発見について意外な話を明日お知らせします。

「理科好き子供の広場」<http://www.microbes.jp/rika/rikastart.html>  開いてくださいありがとうござい。

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2007年7月26日 (木)

子宮ガンは予防できる

 ミュンヘン大学の教授は、4,500人の女性を対象として「子宮ガン」についてのアンケート調査を実施しました。

 調査結果によると、ドイツ女性の95%は子宮けい部ガンに関する情報を耳にしたことがあると回答していた。

 ところが45歳以下の女性で子宮けい部ガンが二番目に多いガンであることを知っていたのは全体の21%にすぎなかった

 子宮けい部ガンの誘因に関しては大半の女性は知らなかった。それどころが46%の女性が遺伝的な要因と考えており、「子宮ガンの家族歴がないから心配ない」とこたえていた。

 子宮けい部ガンにはパピローマウイルスが関与しているのに、パピローマウイルスが主要な誘因であることを知っていた女性は8%にすぎなかった。

 子宮けい部ガンのワクチンが既にできているから、ワクチンで子宮頸部ガンを予防する時代になりました。

  愛する女性諸君、子宮ガンワクチンについて勉強しましょう。

 理科好き子供の広場 http://www.microbes.jp/rika/rikastart.html> もどうぞよろしくね。

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2007年7月 4日 (水)

ドイツでもノロ下痢症が猛威

 ベルリンにあるローベルト・コッホ研究所は、ノロウイルスによる下痢症感染者数がこれまでの過去の記録を更新する勢いであると報告しています。

 昨年(2006年)10月から今年(2007年)1月までの4カ月間に、ノロウイルスによる胃腸炎感染者数は55,312例であった。この時期は、クリスマスから年末年始の休暇をとる人が多いことから、この数値は氷山の一角と見られる。

 感染者が5例以上の集団感染も1月までに1,405例の報告があり、集団感染の90%以上は保育園、高齢者介護施設、大病院などの施設から報告されている。

 コッホ研究所は、ノロウイルスの施設での蔓延を防止する索として次のような事柄を推奨しています、
 ①感染者をトイレ付きの部屋に隔離する、
 ②手洗いと手の消毒を徹底する、
 ③患者の周囲と汚染地域はふき掃除と消毒を行なう、
 ④患者が使用していた部屋などは患者が退出したあとも72時間は使用しないこと
、などです。

 個人の住宅では、家屋全体を消毒する必要はない。
      しかし、ノロウイルス感染者またはその家族に対して、
 ①入念な手洗いの励行、
 ②浴室とトイレの充分な衛生管理、
 ③おうと物や便により汚染されたものを掃除するときは手袋を着用する、
 ④衛生用品やタオルは共用しない、
 ⑤タオル、下着、リネン類は60℃以上の温水で洗濯する、
 ⑥高齢者や幼児が患者と接触しないように指導する、
 ⑦症状が消えてもその後1~2週間はウイルスが排泄されているので、
  トイレや手の衛生に注意する、

などの対策を推奨している。

 ノロウイルスによる急性胃腸炎の集団感染が日本国内でも突如として広がりました。これまでは生カキを食することによる宴会感染が主で、ヒトからヒトの感染はあまり見られませんでした。

 高齢者などの抵抗力の弱っている人の一部は、ノロウイルスの感染により死亡した事例も見られました。ドイツでもノロウイルスの蔓延によりノロウイルス感染者が多発しているようです。

 次のような項目は、国内での感染防止策にはあまり記載されていないと思えます。
例えば、
1) 感染者をトイレ付きの部屋に隔離する、
2) 病室は患者が退出後も72時間は使用しない、
3) タオル、下着、リネン類は60℃以上の温水で洗濯するなどです。

 普段から家庭での洗濯で、冷水やお風呂の使った湯を使わないことが日本を除く国での習慣のようです。欧米に限らずお隣の韓国でも洗濯には、熱いお湯を使うと聞きました。外国人からすると日本人家庭での洗濯は非衛生的に見えるようです。

  皆さんはどのように感じられますか。いつまでも健康でありたいものです。

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2007年6月21日 (木)

慢性のC型肝炎-油断は禁物

 偶然にC型肝炎と診断された患者または慢性C型肝炎の患者である人たちの約3分の1では、肝臓機能の検査値が正常であることが多く見られるそうです。

 これらのことから、誤って健常なウイルス保有者であるまたは肝臓に問題がないと思い込むのは危険であるようです。

 肝臓の機能を表示する検査値が異常でないから肝臓に異常がないと思ってしまうためにその後の処置が遅れ、肝硬変に移行してしまう恐れがあるからです。お医者さんも留意する必要な場合があるようです。

 慢性C型肝炎患者であって肝機能検査値(GOTやGPT)に異常が認められない場合でも、ペグインターフェロンを1週に1回投与およびリバビリンの1日1回の投与を24週または48週間行なったら、ウイルス量もGPTの上限値も低下する所見が得られたとドイツの教授が発表しています。

 C型肝炎ウイルスの診断は、ウイルスの蛋白を抗原として免疫抗体を測定するシステムが確立されています。

 この検査法の確立と検査の精度の上昇から、C型肝炎ウイルスの検出が容易となり、その結果C型肝炎ウイルスの感染者は全世界の人口の約1~2%と推定されるようになりました。約1億人もの感染者がいる計算になります。

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2007年6月14日 (木)

HIV感染者と骨粗しょう症

 HIVの感染者は、年齢的に若く経済活動を担うべき年齢層の人々と子供達に多いのです。このような年齢層の人たちがHIVの感染で死亡する割合が高くなると、国民全体の人口構成がゆがんできます。

 アフリカの一部の国では、エイズの影響で国の平均寿命が50歳台から30歳弱になってしまった国もいくつかでてきています。民族と国家が滅亡するかもしれません。

 抗HIV薬は、極めて貧しい患者には高価すぎて継続して治療を受けにくいことがあります。そのため感染イコール死亡とまではいかないまでも、かなりの確率で死亡することは確かです。そのうえ心理的な差別感や疎外感にもHIVの感染者は悩まされています。

 1997年以降、欧米ではHIV感染者に骨減少症と骨粗しょう症が生ずることが報告されています。高齢者でない患者においても、骨が軽くなりカスカスになっていることが多いというのです。

 骨減少症と骨粗しょう症の原因が、抗HIV薬の副作用なのか、食事のせいなのか、運動不足のためなのか、または日光浴の時間が足りないのか、その他の理由が原因なのか良く判ってはいないようです。

 わが国でのHIV感染者の骨代謝に関する調査研究は、ほとんど行われていませんでした。奈良県立医科大学の古西満先生らによって、HIV感染者の骨代謝と破骨細胞(骨を破壊する細胞)などについて検討した結果が報告されています。

 平均年齢が41歳で男性が36例と女性が3例の39例を対象に検討されました。検討項目は、骨の組成、骨の形成、骨の吸収と破骨細胞の分化や活性化に関与する因子を調査しました。骨粗しょう症が1例(2.6%)に、骨減少症が9例(23.1%)に認められました。全体で39例中10例(25.6%)に異常が認められました。

 抗HIV薬多剤併用療法を受けている患者に骨密度の低下する傾向が認められた。20例(51.3%)では、破骨細胞の分化や活性化に関与する因子の濃度は、骨密度とマイナスの相関が、骨吸収とはプラスの相関が認められました。

 欧米での成績では、HIV感染者の骨減少症と骨粗しょう症との合併率が30~70%と報告されています。これに比べると比率は低いですが、我が国のHIV感染者でも約25%に骨減少症と骨粗鬆症との合併率が存在していることが、この調査研究の結果により判明しました。

 骨代謝は約半数の症例で骨吸収パターンであったことから、将来的には欧米の骨減少症と骨粗しょう症との合併率に近づく可能性があると述べています。

 骨吸収は、破骨細胞によって担われています。この骨を破壊する破骨細胞は、マクロファージ系の細胞から分化してできてきます。この破骨細胞の分化と活性化は、骨芽細胞により調整されているようです。

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2007年6月 9日 (土)

ゴキブリと喘息

 米国立衛生研究所の委託をうけた複数の研究機関が、小児喘息に影響を与える要因について3年間にわたり全米規模の調査を実施したようです。その結果が学術雑誌に発表されています。興味ある内容が含まれていますので、一部を紹介します。

 都市部に住む5歳から11才までの中等度から重度の小児喘息患者937例を対象として、ゴキブリやダニのアレルゲン、ペットのふけ、カビに対する感受性を皮膚テストで検査した。さらに寝室で採取したホコリに含まれる各アレルゲンの含有量をも分析した。

 その結果、シカゴ市、ニューヨーク市(ブロンクス地区)などの米国北東部の住居からは、喘息の症状を誘発するのに十分量のゴギブリ・アレルゲンが検出されました。

 一方南部と北西部のテキサス州ダラス市、ワシントン州シアトル市の住居からは喘息症状の増悪につながる量のダニ・アレルゲンが検出された。

 ゴギブリ・アレルゲンとダニ・アレルゲンの二つのアレルゲンの検出量と居住形態とに関連性があり、ゴギブリ・アレルゲン量は高層建物で、ダニ・アレルゲン量は一戸建て住宅で最大であった。

 ゴキブリは水場と食べ物に誘引されて集まります。一方、住居内のダニはヒトの皮膚のフケを餌とし、フトン、カーペット、カーテンなどのホコリの溜まりやすい場所を住処とします。

 ダニ・アレルゲンは、ダニの消化管に由来するタンパクでダニの糞に排泄され、ゴギブリ・アレルゲンは、ゴキブリの唾液、糞、分泌物、死骸などに由来します。 

 ゴギブリ・アレルゲンとの接触を少なくするには、1)台所や食堂以外で食事をしない、2)冷蔵庫内で保存しない食べ物はプラスチック容器や密封できるプラスチック袋に納める、3)台所の生ゴミは毎日捨てる、4)カーペットを敷いてない床はぬらしたモップで拭く、5)カーペットを敷いた場所はひんぱんに掃除機をかける、などが考えられます。

 米国環境衛生研究所は、「都市部の家庭環境では、小児喘息の主なアレルゲンは、ゴキブリであることが判った。しかし、普段の清掃などでアレルゲン量を少なくすることは可能である」とも述べています。

 小児のアレルゲンへの曝露と生活様式に地理的構造的格差があることが報告され、ダニやペット由来のアレルゲンよりゴキブリのアレルゲンのほうが喘息の症状を悪化させると言う内容です。

 米国のゴキブリとダニは、地方と建物を住み分けているようです。日本国内ではどのようになっているのか興味があるところです。

 また日本国内でのフローリング床は、電気掃除機を使わないで、モップでホコリをとるほうが、ホコリをまき散らかさないので、喘息の患者には大変に有効な手段のように聞いています。

 ゴキブリのアレルゲンとはこれまで聞いたことがありませんでしたので、大変に興味を覚えました。

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2007年6月 8日 (金)

インフルエンザ流行の発端は3~4才児

 トリのインフルエンザウイルスがヒトからヒトに感染できるように変異したら、新型インフルエンザの世界的な大流行が起こるとマスコミなどでも連日のように報道しています。

 いま世界がインフルエンザで沸いています。日本政府も重い腰を上げ、発表している政府の予測によると、全国民の25%に相当する三千万人ほどが感染し、そのうちの2%に相当する最大で60万人程度の死亡者がてる可能性を示唆しています。

このような背景から、新型インフルエンザが恐くて、考えると眠れません・・・、新型インフルエンザにかからない安全対策・・・、新型ウイルスによる感染の見分け方・・・、どうしたらよいか予防策・・・、病院でインフルエンザに罹らないかなどのメールを主に若いお母さんたちから貰います。

しかし、私がカタツムリのように殻にこもった状態を維持し、曖昧藻湖でもインフルエンザについて触れないのは、人々を怖がらせる情報はあっても、人助けや人々に安心感を与えられるような情報を持っていないからです。

いま世界で危惧されている新型トリ由来のインフルエンザは、単なるインフルエンザではなく新しい病気と考える方が無難と思われます。

 今後このトリのH5やH7の新型ウイルスがどのように変異するのかは判りませんが、いま現在でのヒト感染者の死亡率は50%です。信じがたいほどの致死率です。

インフルエンザ流行の発端
 米国の衛生学関連の学術雑誌に興味ある新知見が公表されています。その概略は、次のようです。

 米国のガイドラインでは、生後6~23ヵ月の乳児、65才以上の高齢者、病気や免疫不全のため感染リスクが高い患者らが優先的にインフルエンザのワクチンの接種を受けるべきとされています。

 ボストン小児病院とハーバード大学の先生方が行った2000年から2004年にボストン地区の人達が病院を訪れた情報を集計し、分析した調査結果が公表されました。

 それによると、インフルエンザを疑わせる呼吸器の病気で医療施設を訪ねてくる集団は、9月下旬頃から3~4才児の外来診療が認められ始める。2才以下の乳児の来院は、それから1~2週間ほどあとであった

 更に、年長児がインフルエンザ様疾患で受診するのは10月に入ってからで、成人では通常11月初旬以降であったと述べています。

 この成績は、小児のクシャミが高齢者に死亡者がでる前触れとなることを示しているのです。同時にインフルエンザの流行を阻止するための対策の立て方を示唆しています。

 それは、インフルエンザに罹った者よりもウイルスを伝播する者に対策の焦点を当てることだとしている

 この研究は、将来トリ由来新型インフルエンザウイルスによる流行の発生や拡大を予測するために重要な知見を提供していると思います。

 トリインフルエンザが身近な人達の集団に侵入して来たとの兆しは、その集団の3~4才児がインフルエンザのような症状からわかるかも知れないと言うことです。3~4才児は、保育園や幼稚園に通いだし、ウイルスに対する免疫のない(または弱い)小児の混合集団なのです。

 幼稚園に通っているお姉ちゃんがウイルスを家にもって帰ってくる、そのウイルスを弟の乳児に手渡しする。幼稚園の3~4才児より年上の児や母親などは、多少抵抗力がありますから、少し遅れて発症するのでしょう

 集団生活をする小児は、ウイルスにしては格好の餌のようなオイシイ集団なのでしょう。カゼに罹らないためには、体力を維持し、鼻や手を清潔にすることと思います。

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2007年6月 7日 (木)

高齢者の帯状疱疹

帯状疱疹
 水痘と帯状疱疹という異なる二種類の病気は、一般の人には不思議に思えますが、水痘帯状疱疹ウイルスと呼ばれる単一のヘルペスウイルスによって引き起こされます。

 一般に子供に多くみられる水痘=水疱瘡(みずぼうそう)は、水痘帯状疱疹ウイルスの感染により引き起こされ、発熱と発疹を主症状とする良性の疾患です。

 主に気道を通して感染し、局所のリンパ組織で増殖したのち肝臓や脾臓で増殖してから、全身に疱疹が出現します。皮膚に達したウイルスは,毛細血管内で増殖して水疱を形成します。

 水痘が治った後もせき髄神経節や顔面にある三叉神経節にウイルスは潜伏して増殖しないで存在し続けます。何らかの刺激でウイルスの増殖が再活性化すると、神経に沿って皮膚に表れ帯状疱疹となります。

 非常な痛みを伴うようです。初感染の初期には抗ヘルペス治療薬としてアシクロビルがあり、ウイルス感染の予防には弱毒生ワクチンが開発されています。

 小児期の水痘とことなり、帯状疱疹の痛みは大変だとよく聞きます。免疫能が弱くなるとウイルスの増殖はより活発となるようです。

ワクチン接種の効果
 カリフォルニア大学の教授らは、予防ワクチンの接種により高齢者の帯状疱疹と帯状疱疹の神経痛が著明に低下したと発表しました。

 その調査研究によると、60歳以上の成人3万8,546例を対象に大規模な試験を行ないました。被験者のうち帯状疱疹の確定診断を受けた患者は957例で、そのうちワクチン接種群は315例、プラセボ接種群は642例でありました。

 帯状疱疹後神経痛患者は107例で、そのうちワクチン接種群は27例、プラセボ接種群は80例でした。ワクチンの接種により帯状疱疹による疾病負荷が61.1%、帯状疱疹後神経痛の発生率が51.3%も低下したことが見いだされました。

 疼痛と不快感の平均持続期間が、ワクチン接種群では21日、プラセボ接種群では24日と少なくなりました。このワクチンの最小効力は、水痘予防のために承認されているワクチンの14倍以上であると述べています。

 最後に米国の65歳以上の高齢者は、約35%がインフルエンザワクチンの接種を受けてなく、約60%が肺炎球菌ワクチンを受けていないようです。

 帯状疱疹が生活を変えるほどの消耗性疾患で、ワクチンを注射してもらうことにより、この疾患を半減あるいはそれ以下に減らすチャンスがあると述べている。大変な朗報です。

 抗癌剤や免疫抑制剤を投与されているガン患者や臓器移植者などは、免疫能が低下しているので、水痘(水疱瘡)や帯状疱疹に罹りやすくなります。

 白血病を患っている患者が多い小児病棟などで、水痘の院内感染が流行ると大変な問題となります。

 そのような折りに用いられるように水痘帯状疱疹のワクチンが開発されています。そのワクチンを高齢者に用いても有効であったとの報告を紹介しました。

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2007年6月 6日 (水)

細菌の毒素と神経痛

 世界最強の毒素を作るボツリヌス菌は、大変に恐ろしい病原細菌の一種類です。その毒素は、筋肉を麻痺させる作用があります。

 この毒素の生物学的な特性を逆手に使って、治療に用いられることが報告されています。今回は、ボツリヌス菌が作る毒素の三叉神経痛に対する効果を紹介します。

 ブラジルにあるパラナ大学神経科では、米国の研究者と共同で、三叉神経痛の顔面痛にもボツリヌス毒素が効果のあることを見つけ出し、米国神経学会の学術雑誌に発表しました。

 三叉神経痛の13例の患者にA型ボツリヌス毒素を注射しました。その結果、ボツリヌス毒素の注射を開始して10日で13例の全例で痛みが軽減し、20日後には痛みがほぼ消えました。

 ボツリヌス毒素が三叉神経痛による重度の顔面痛にも効果があると述べています。ボツリヌス毒素の注射を受けた13例の全例で大きな副作用は認められなかったが、プラセボを含む対照をおいた60日間以上の臨床試験が必要と述べています。
 
 三叉神経痛は、通常片側の顎(あご)や頬(ほほ)に急激且つきわめて強い突き刺すような激痛が走ります。痛みは数秒間持続しますが、連続する痛みの発作を繰り返すこともあります。

 この痛みは、他人との会話、歯磨き、何かを飲み込む嚥下などの行為が引き金になり症状がでることが多いようです。

 女性の方が男性よりも多いと言われています。主な治療法としては、抗ケイレン薬の投与ですが、場合によっては神経を切断する手術も行われることもあります。

 痛みやかゆみは、時に耐えがたいもののようで、患者本人にしかその本体については解らないようです。

 三叉神経痛は、激しく持続する痛みが特徴です。ボツリヌス毒素の治療薬としての試みは、これまでに片頭痛や目瞼痙攣(まぶたのけいれん)に効果があるので、今回三叉神経痛に対する効果を試みたようです。

 本曖昧模瑚でも、これまでにも「343. 脳性まひとボツリヌス毒素」で筋肉が激しく動く不随意運動に悩まされる脳性まひ、「376. A型ボツリヌス毒素の効用」で多汗症に対する効果があることを紹介しています。

 薬は毒であり、毒は薬にもなることを証明する話題です。生物学は面白いですね。

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2007年6月 5日 (火)

コーヒーに肝硬変の保護作用

 GOT(いまはASTと呼ぶ)とGPT(いまはALTと呼ぶ)と呼ばれる酵素は、色々な多くの組織中に存在しますが、肝臓において最も高い濃度を示します

 そのため肝臓になんらかの損傷があると、この酵素は血液に出てきます。血液中のこの二つの酵素の値を調べることで、肝臓の機能の傷害の程度を推測することができるのです。

 コーヒーの愛飲者は、GOTとGPTが高値を示す割合が低いことが以前から報告されています。そのため、コーヒー非飲用者と比べると、1日に4杯以上のコーヒー飲用者ではGOT高値の比は0.5 (P<0.001)であり、GPT高値の比は0.6(P<0.001)となるそうです。

 これらの研究からどの成分かは未知ですが、コーヒーにアルコール性肝硬変に対して保護作用があると考えられてきました。

 米国カリフォルニアにある医療センターは、125,580例の対象を用いてコーヒーの肝硬変に対する効果を調べました。

 この調査研究の対象例は、1978年から1985年の間に収集し、2001年末までにアルコール性肝硬変199例を含む330例が肝硬変と診断されています。

 このモデルは、年齢、性、民族的背景、教育水準、BMI、飲酒と喫煙の7要因も調べてあります。これらの集団からは、極端な貧困層と極端な富裕層は除いてあります。

 今回の研究から、アルコール性肝硬変のリスク比は、コーヒー非飲用者と比較すると、1日に1杯未満のコーヒー飲用者では0.7、1日に1杯から3杯の飲用者では0.6、1日に4杯以上の引用者では0.2(P<0.001)であることが判りました。

 これに対して、非アルコール性肝硬変と診断された131例では、コーヒー非飲用者と比べて、1日あたり1杯未満のコーヒー飲用者では肝硬変リスクが1.2、1日に1杯から3杯の飲用者では1.3、1日に4杯以上では0.7でありました

 コーヒーに肝硬変、特にアルコール性肝硬変に対する保護作用があったとしても、今回の調査成績から肝硬変に対する明確な治療に使える意図はないと述べています。

 アルコール性肝硬変を抑制する主要な治療法は、過度の飲酒の回避または停止であることには代わりはないようです。

 コーヒーの人体に対する害作用と有効作用については、既に紹介文を掲載してあります。興味のある方は、曖昧模湖「224.コーヒーの効用」をお読みください。

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2007年6月 4日 (月)

ウイルスのついた手の洗い方

 米国ノースカロライナ大学の先生方は、成人ボランティアを対象に細菌とウイルスの除去効果を同時に調べました。その結果が米国感染症制御学誌に掲載されています。その成績の概要を紹介します。

 ボランティアとして参加した成人62例を対象に14種類の手洗い液の細菌とウイルスの除去効果を同時に調べました。

 ボランティアの手を消毒させてから霊菌(セラチア菌)と細菌ウイルス(ファージ)で汚染させました。

 汚染させた後、種々の手洗い液でわずか10秒間洗浄させ、洗浄後に残存しているセラチア菌とファージを定量しました。
 
 「10秒間洗浄」の意味は、多忙な医療従事者が病院で手指の洗浄や消毒にかける平均的な時間が10秒間であたためです。

 手指に付着した細菌を減らすには、抗菌液が最も有効であった、速乾性アルコール液は効果が低いこともあり一定した成績は得られませんでした。

 一方、ウイルスを減らすは、消毒液に抵抗性が比較的に強いため、石鹸と流水による物理的除去が最も有効でありました。

 抗菌手洗い液は、擦り込み式アルコール液や拭き取り式速乾性液に比べ細菌の除去効果は高かった。また拭き取り式液以外の全ての薬液は、10秒間という短時間の使用でも手指に付着した細菌を90%減少させることができました。

 比較的抵抗性の強いウイルスに対して、擦り込み式アルコール液は、ほとんど有意な除去効果はありませんでした。そのため従来からの石鹸と流水による手洗いを推奨または強制することも重要であることが再認識されました。

 米軍では1日に5回の手洗いを強制したら、カゼに罹る割合が低下したと報告していいます(曖昧模湖265.手洗いがカゼを少なくする)。抗菌液は細菌に対しては有効でもウイルスに対してはほとんど効果がないようです。

 手洗い用の合成洗剤でも手が荒れる人が沢山います。そのため抗菌液もできれば余り使わないで、ことあるごとに石鹸と流水による手洗いを励行することが手に優しく且つ細菌にもウイルスにも最も効果的であると思います。

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2007年6月 3日 (日)

手につけた細菌をキレイにする

 黄色ブドウ球菌の感染で化膿した傷口がある人がオニギリを作ったとします。それで傷口の膿を耳掻き一杯くらいをオニギリに付けてしまったとします。すると1億個から10億個くらいの黄色ブドウ球菌を付けてオニギリを作ったことを意味します。大変なことになりますね。
 
 手を清潔にするために「手を洗いましょう」と学校でも、給食センターでも、医療施設でも奨励しています。しかし、その手洗いの方法が問題なのです。

 ある病院で働いている技師に協力してもらい手をキレイにする実験を行い、その結果を「曖昧模湖265」に掲載してあります。そこには次のようなことが書いてあります。

 ある病院の微生物検査室で働いている3名の臨床検査技師の協力を得て、簡単な試験を行いました。目的は手洗いがどの程度効果があるのかを知ることでした。

 そのために一定量の大腸菌を手に直接塗った後、各人が通常行っている方法で手を洗ってもらいました。手を洗う前後に細菌の数を定量して、手洗いの効果を調べました。

その結果を割合(%)に換算して表にまとめました。

                          消毒薬による手洗いの効果
洗い方                  技師#1    技師#2     技師#3
手洗い前               100%      100%       100%
石けん                    21%       100%       100%
消毒薬                   
0%         67%          0%
強酸性水                 74%       100%      100%

 実験の対照としての手洗い前は、3人の手から塗付した大腸菌が100%回収されました。最初に普通の化粧石けんで洗った後水道水で石けんを洗い流し手では、二人の手からは100%の大腸菌が検出されました。一人だけ20パーセントに減少していました。

 次に病院でよく使われている有名な消毒薬を使ってもらいましたが、期待通りの成績は2人のみで、一人は67%が回収されました。最後に強酸性水で洗ってもらいましたが、3人の手は細菌学的にはキレイになりませんでした。

 さて、この成績はなにを示しているのでしょう。手をキレイにするには、なにを使ったら良いかでしょうか。上に紹介して成績は、なにを使って手を洗ったらよいのでしょうかではなく、どのように洗うかが大切であることを示していると思います。#2の人は、手の洗い方を知らないのだと思います。

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2007年6月 2日 (土)

住環境のバイキン

 ハウスダストは、質的にも量的にも住まいの環境により異なります。ゴキブリもアレルゲンとなります。ゴキブリは、台所や流しの周りに多く存在して、そこに生息しているバイキンを身体に付着させて、室内を動き回っています

 宮崎大学農学部家畜微生物学講座の小菅洵子博士らは、住環境に分布する微生物の特徴について研究しています。ハウスダクトに付着している微生物の動態を検討し、微生物の生残や増殖への温湿度の影響についての成績を公表しています。

 詳しい条件や内容は把握できないのですが、報告の概要を紹介します。

 住環境や生活域に一般的に観察される微生物(黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus8株、ブドウ球菌S. intermedius 36株、大腸菌群9株、緑膿菌群Pseudomonas spp.15株、ロドトルラ菌Rhodotorula spp.9株)を用いて、温湿度の違いによる生残率を調べた。

 紙製のディスクにそれぞれの菌液を接種しました。
そのディスクを温度と湿度の違うか条件におきました。

 1)25℃の室温で湿度30%(乾燥)、
 2)25℃の室温で湿度99%(高湿度)、
 3)37℃の高温で湿度30%(乾燥)、
  の条件にディスクを置き、一定期間こどに紙製ディスクを取り出して、
  培養し細菌の生死を観察した。

 生き残る傾向は、菌により大きく差が見られ、高温よりは室温、乾燥よりは高湿で生残日数が延長することが判った。その結果を表に示した。

                        生存日数(平均生存日数±SD)
菌種         株数          室温・乾燥      室温・高湿        高温・乾燥
S. aureus        8          24.3±5.5        75.3±49.5         11.3±5.0
S. intermedius    36          47.5±15.9       88.7±61.6        41.8±14.0
大腸菌群        9          109.7±73.4      270                 47.0±49.1
Pseudomonas spp. 15          168.3±92.4      270                 48.7±28.7
Rhodotorula spp.   9          366.2±95.2     283.2±34.1       218.4±76.7

宮崎大学農学部家畜微生物学講座小菅洵子博士らの成績

 住環境に分布する微生物のなかには、増殖に不適な環境下でも、長期間発育能を失わないものが存在する。しかし、そのような菌の生残には、周囲の温度と湿度が影響すること、また掃除機のダストパックの交換も頻繁にすべきと述べています。

 私が試験する際の条件と大きく異なることから、結果も違うようです。ディスクを用いる試験法では、ここ紹介したような結果が導き出されることになります。そのような意味から、小菅洵子博士らの研究成果を引用させて貰いました。

 ここには紹介しませんでしたが、小菅洵子博士らは電気掃除機のダストパック内のダストを室温、乾燥条件下に静置して、細菌や真菌の生残数をも調べています。その結果は、バラツキが大きいと報告しています(成績は示さず)。

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2007年5月30日 (水)

血液型とノロウイルス

 血液型がA型の人は風邪にかかりやすいとよく言われます。サルも血液型がA型なので風邪にかかりやすいと聞いたことがあります。これがどの程度科学的に根拠のある話なのかは分かりません。三段論法的に血液型がA型の人はサルに似ているという積りは毛頭ありません。

『ノロウイルスと血液型』
 ノロウイルスは、冬季に流行る食中毒の主要な原因ウイルスです。少し前までは小型球形ウイルス、SRSV、ノーウォークウイルス、カリシウイルスなどと呼ばれていたウイルスです。生カキやカキ鍋などを介して時に集団食中毒を引き起こすことがあります。少し前には老人ホームなどでのノロウイスルによる集団感染が大きく取り上げられていました。

 ノロウイルスは、今現在も培養できないウイルスなので、遺伝子からウイルスの研究が進められています。ノロウイルスには、異なる遺伝子が数多く存在することが分かっていると同時に、ヒトの血液型の型物質をレセプター(受容体)として感染することも明らかになってきました。
 
 北海道のある町で661名が学校給食による食中毒が疑われる急性胃腸炎を起こした事件がありました。北海道の衛生研究所の先生方は、その集団食中毒の原因究明のために微生物検査を実施し、また感染者の血液型をもアンケートで調べました。その結果が日本感染症学会から発行されている雑誌に報告されました。私にしては興味ある調査であり、これまでにあまり報告されていない結果ですから、その概略を紹介したいと思います。

『ノロウイルスによる集団食中毒と血液型』
 北海道のある町の小中学校16校の児童、生徒と教職員の661名が急性胃腸炎を起こしました。微生物検査の結果、給食の調理従事者の糞便、取り扱われた食品および発症者の糞便からノロウイルスの遺伝子が検出されました。検出されたノロウイルスの遺伝子を分析した結果、全てのウイルスの遺伝子が同一でありました。このことから単一のノロウイルスの暴露により引き起こされた集団食中毒事例であることが分かりました。

 検出されたノロウイルスについて、発症者の血液型と発症率や症状との間に関連がみられる可能性があると考え、アンケート調査を実施しました。アンケート調査の対象は、発生当時の小中学校の児童と生徒(小学校2年生から中学校3年生)の1,098名でした。ウイルスの遺伝子は、発症者の便9検体と吐物9検体を用いられました。

 722名から回答(65.8%)が得られ、最も高い発症率はA型の71.1%(187名中133名)が発症していました。一方、最も低い発症率はAB型の553% (47名中26名)でありました。また児童と生徒の家庭における二次感染発生率は、AB型が19.2%(26家庭中5家庭)で、A型の41.4%(133家庭中55家庭)およびO型の39.5%(124家庭中49家庭)より有意に低い発生率であった。

 これらのことから、AB型のヒトは検出されたノロウイルスに対して感受性が低かったものと推察された。嘔吐の有症率が最も高かったのはA型で88.0%(133名中117名)で、最も低かったのはAB型の76.9%(26名中20名)でした。食中毒の原因食品は、きなこねじりパンと考えられ、配膳された原因のパンを全て食べた児童・生徒も、一部しか食べなかった者に於いても発症率には有意な差は認められませんでした。

 ノロウイルスの代表株であるノーウォークウイルスは、O型の血液型のヒトに感染しやすいと2002年に報告されていいます。その後、ノーウォークウイルス粒子は、O型、A型およびAB型の赤血球を強く凝集するが、B型の赤血球は凝集しない性質であることが明らかにされています。またABO型の抗原は、胃十二指腸の粘膜上皮細胞にも発現しており、ノロウイルスの感染に重要な役割を果たすと考えられてもいます。エイズの原因ウイルスは、リンパ球の表面にあるCD4と呼ばれる物質(血液型物質ではない)に結合して細胞のなかに入り込むことが分かっています。血液型の違いによる感染発症率の違いが少しずつ明らかにされてきています。

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2007年5月29日 (火)

メガネの金属フレームと顔面感染症

『面庁と丹毒』
 細菌による感染症に、俗に言う「おでき」があります。「ふきでもの」と言った方が解りやすいかもしれません。主にブドウ球菌が皮膚に感染して起こる皮膚病の一種類です。赤く腫れて、とても痛いのが特徴です。しばらくすると膿が出て治ります。

 顔にできると「面疔(めんちょう)」と言って、昔は恐れられた怖い病気があります。「丹毒(たんどく)」と呼ばれる病気もあります。これはレンサ球菌と呼ばれる細菌による皮膚の病気で、高熱とともに皮膚が腫れ、赤い斑点がでるものです。ペニシリンなどの抗生物質が有効です。今回は丹毒についての情報を提供します。

『丹毒』
 メガネの金属フレームが原因で金属アレルギーの人が丹毒になったとのニュースがありました。丹毒と聞いてもなんのことか解らない人が多いと思いますので、最初に丹毒について簡単に説明します。

 丹毒とは、主に溶血性レンサ球菌(まれには黄色ブドウ球菌)による皮膚の感染で、俗にいう「おでき」の一つですが重篤(じゅうとく)な形態です。1~2日の潜伏期の後に発熱、頭痛を伴って、顔面や頬またはその他の部位に輪郭の明確な赤い斑点が現れます。

 丹毒はまれな感染症で、1万人に1人程度の割合で発生すると言われています。細菌による感染症ですが、不完全な治療では、再発を繰り返すようになります。これを習慣性の丹毒と呼びます。適切な治療が行われなければ、生命にかかわることもある怖い「おでき」です。

 皮膚には多種多数の細菌が普通に存在しますが、無傷の皮膚は細菌が体内に侵入することを防いでいます。皮膚に傷ができると細菌は、体内に入って炎症と感染を起こします。皮膚の傷を清潔に保てば危険性は減少します。多くの場合は予防することは不可能です。

『メガネの金属製フレームで丹毒』
 若い男性患者が2年間に5回も顔面の丹毒に罹り、入院を余儀なくされた。5回目の症状が現れたとき、患者が使用しているメガネのフレームと金属アレルギーが丹毒再発の誘因でないかと疑われました。丹毒の溶血性レンサ球菌は、鼻孔や耳介にできた傷口から侵入することが多いことから、患者は皮膚科から耳鼻咽喉科に紹介されました。

 耳鼻咽喉科での入念な視診でも、傷口は見つかりませんでした。しかし、メガネの金属フレームが接触している鼻の皮膚にカサブタが出来ていることが見つかりました。そこで金属との接触性の皮膚炎が疑われました。

 皮膚のパッチテストを行ったところ、ニッケルに対して強い陽性反応が、また患者が使用しているメガネの金属性フレームの削り屑に対しても強陽性反応が現れました。その金属フレームの主材料は、洋銀(ニツケルが約24%)とモネルメタル(ニツケルが約60%)であることが判明しました。そこで金属フレームの使用を止めたら、丹毒の再発は認められなくなりました。このことから、ニッケルをアケルゲンとして顔面皮膚に生じた慢性接触性の湿疹であると診断され、これが顔面の丹毒再発の誘因と考えられました。

 ピアスやメガネの金属フレームの材料またはそこに含まれる成分がある人には病気を引き起こす誘因になることが、この報告からも判明しました。私自身も水銀に対して強く反応するアレルギー体質です。薬によっては水銀を含んでいることもありますので、使用する前に防腐剤として水銀が使用されていないかなどを調べないと、使用後に不快感に悩まされることもあります。

 「触らぬ神にタタリなし」ですが、常に予防策が成功するとは限りません。意外なものが意外な原因となる時代となりました。自分の健康にはお互い注意しましょう。輸入品にも意外に無責任に製造され、通信販売などて大量に販売されていることもあるようです。無責任な会社ほど責任を取ってくれませんから、「安全、安心、安定」な商品を賢い目で選び、少し高くても信用を買いましょう。

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2007年5月25日 (金)

ソフトコンタクトとカビの感染

 ソフトコンタクトレンズの使用者に深刻なカビの感染がアジア地区で増加しているようです。この感染症は、フザリウムと呼ばれるカビが原因で、ソフトコンタクトレンズの使用者に起こる角膜炎です。

 全米17州の公衆衛生局がフザリウム角膜炎の疑いのある109例について調査をしました。これまでに調査が終了した患者30例中28例は、ソフトコンタクトレンズを使用していました。その使用者28例中26例は、感染前の一ヶ月間に「ReNu(洗浄、すすぎ、消毒液)」を使用しておりました。そのうち5例は他の溶液を併用、9例はレンズを装着したまま寝ていたそうです。

 そこで製造会社社は、「ReNu液」の出荷を自粛し、同時に汚染源についての調査を実施しているようです。

 フザリウムというカビは、普通は病気の原因となるカビではなく、様々な植物や土壌などの環境中および水道水で見つかることがあります。そのようなカビがどのような過程をへてソフトコンタクトレンズの使用者の目に感染を起こすのでしょう。

 ソフトコンタクトレンズの汚染を防ぐために、次のような措置をとることがかんじんです。

手指は石けんでよく洗うこと、                                        ★レンズに触れる前にハンカチやタオルを使わないで乾燥させること、
医師の指示に従ってレンズの装着と交換をすること、
だ液をつけた指先でレンズに触らないこと、
レンズの洗浄と保管は、医師と洗浄液メーカーが定める処方に従うこと、
レンズのケースは、清潔に保ち、3~6カ月ごとに交換すること、
痛みなどがあったら、直ちにレンズの使用を中止し、医師に相談すること。

 一般に真菌に有効な治療薬はあまり多くはありません。そのため一度罹ってしまうと治りにくいのが特徴です。ソフトコンタクトに限らず、コンタクトレンズは清潔に使いましょう。

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2007年5月20日 (日)

ハシカは怖い病気

「関東の大学でハシカが大流行」の続きを書きます。

 たかがハシカと思っている人、またはすぐに治る病気と思っている人が結構いると思いますが、本当はハシカはすごく怖い病気なんだよね。

 ハシカウイルスは、感染力が極めて強いウイルスの一種です。感染すると一週間か2週間後に発疹が現れはじめ、発疹が現れる2~4日前から発疹が消えるまでの間他人にうつす感染力があります

 はしかにかかった子供の1,000人に約1人が脳炎を発症します。脳炎が起きるときは、普通、発疹が現れてから2日から3週間後に高熱、けいれん、こんすいなどで始まります。約1週間で回復することもありますが、長びいて重篤な合併症である亜急性硬化性全脳炎が、数カ月から数年後に発症することがあり、脳に障害を残します

 亜急性硬化性全脳炎は、はしかのウイルスに長期間脳が感染した結果起こり、ウイルスが再活性化することで起こります。ハシカに罹った人の100万人に1人くらいの割合でこの病気が起こります。

 この病気は普通、子供か20歳前の若者に発症します。最初の症状は、学業成績の低下、健忘、注意散漫などです。周りの人にもこんな症状が見られるかも知れません。いったん発症すると症状は段々と進行し、治ることは期待できません

 最終的には植物人間となり死の転帰をとります。これほど怖い病気は多くはありません。

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2007年5月19日 (土)

関東の大学でハシカが大流行

 ハシカの患者は、いまでも毎年あるていどの割合で発生しています。

 ハシカのワクチンが開発されていなかった一昔前までは、春先になると幼稚園児などが「ハシカ」に罹り、学級閉鎖などが頻繁に行なわれていました。

 発熱して苦しんだハシカに罹った子供たちは、その苦しんだ代償として生涯持続するような強い免疫を貰っていました。そのためハシカには二度と罹らないと一般に信じられていました。

 ところがいま関東地方の大学でハシカが大流行し、学生が集団で感染しているそうです。一昔前の常識では、考えられないことが起こっているのです。

 ハシカは、麻の実のような小さな発疹ができることから麻疹と書きます。幼児の病気がどうして大人にはいりこむのでしょう。
 
 麻疹ウイルスの病気を起こす力を弱めた弱毒ウイルスが確立されているので、生きている弱毒ウイルスを用いた麻疹の生ワクチンが開発されています。麻疹の生ワクチンを注射すると高率に免疫状態が誘導されるようになりました。

 世界中からハシカを撲滅しようとの運動が展開されていますから、ハシカは一時期よりは確かに少なくなりました。身近にいる幼稚園児もハシカにあまりならなくなると(
少なくなると)、ワクチンを接種しない人が多くなる傾向があります。

 小さいときにワクチンを注射されていない子供が成長して大学生になり、免疫力がありませんから、幼稚園児と同じように感染することが多くなったようです。

 それともう一つ別な要因が考えられます。

 ハシカが流行っている場所では、病気を起こす力の強いウイルスに感染することになりますから、感染するとすぐに症状が表れます。少しだけ弱毒したウイルスを注射すると、ほとんどの人が免疫を獲得できますが、同時に全員が病気になってしまいます。

 弱毒を強力に進めて、全く無毒にしたウイルスは(作ろうと思えば作れるのですが)、注射された人を病気にしないだけでなく、免疫も作らなくなってしまいます。

 強い副作用を示さない程度に弱毒した(全く無毒ではない)ウイルスをワクチンのウイルスとして用います。

 弱毒されたウイルスは、強毒なウイルスほどには、強い免疫をつくることは出来ないと思われます。それでも周りにハシカのウイルスがタダヨッテイテ、ハシカになる子供が多いと、弱毒されたウイルスであまり強くない免疫状態も、自然に存在しているウイルスの力で、常に免疫力を補強されていることになります

 それで一度ハシカに罹ると二度と麻疹に罹らないといわれていたのです。ところが補強してくるウイルスが身のまわり少なくなると、ワクチンを注射された人の免疫も段々と弱くなってしまうらしいのです。

 ワクチンを注射されてない人と、ワクチンは注射してもらったがあまりに昔のことなので、免疫が弱くなっている人とが増えてきている結果、都会で大人である大学生が子供の病気になっているようです。

 さてどうすれば良いのでしょうか、皆で考えて見ましょう。 

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2007年5月18日 (金)

喫煙は肺結核感染リスクを高める

 「バイキン博士のつぶやき」を読んでいる人のうち、との位の人がタバコを吸っているのでしょう。タバコを吸う人は、すえる場所も少なくなり、段々とかたみが狭くなってきています。

 ところが結核による死亡者は、いまでも全世界で毎年170万人くらいもいることを知っていますか、あまり知られていませんね。

 タバコを吸うことが結核の感染率と死亡率に影響するだろうということは、かなり以前から推測されてきています。

 関係するだろうなーと推測はされていても、ところが喫煙が                         

①結核菌への感染率を高めるのか、

②結核の発症率を高めるのか、または

③結核による死亡率に影響するのかは、明確には判っていません。

 カリフォルニア大学の公衆衛生の先生らは、喫煙は結核菌による感染率と感染後の発症率をともに高めることが判ったと、内科学雑誌に報告しました。

 その研究した先生方は、喫煙と結核との関係を検討した論文をさがしだし、そのなかから感染率に関する論文6報、発症に関する論文13報、死亡に関する論文5報の総計24報の論文を詳細に検討しました。

 その結果わかったことは、

 ①喫煙者の感染率は、非喫煙者に比べて73%も増大し、

 ②結核菌に感染後、喫煙者は非喫煙者に比べて発症率が40~60%増大することが判った。

 しかしなから、③結核を発症している患者の死亡率は、喫煙者と非喫煙者との間で大きな違いはなかつた。

 結核になってしまっている患者は、タバコを吸っても吸わなくても、その後の経過にはあまり影響がないようです。ところが結核に罹る率と発症する率は確実に高くなるのですから、やはりタバコは吸わないほうがよいとの結論です。

 タバコを止めますか、結核になりますか。
 さてどっちが得かな、良く考えよう。 

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2007年5月17日 (木)

ハチミツが危ない

 天然食品と思われている「ハチミツ」の一部は、実は偽ハチミツであり、水あめなどを加えたまがい物であるらしい。全てではなく、20パーセントていどらしいなので、まだ良心的なハチミツ業者の方がおおいので、少しは救われる気がする。

 一昔前にカンヅメに牛の絵が書いてある「牛印肉のカンヅメ」が売られているのが発覚して、消費者のヒンシュクをかったできごとがありました。

 今回の偽ハチミツは、「ハチミツ印の水あめ」ではないようですが、価格を安くするために水あめやデンプンを化学処理した糖分を加えたもののようです。

 蜜ハチが花から集めてきた蜜がハチミツかと思っていたら、消費者は混ぜ物のハチミツを食べさせられていたようです。

 オドカス積りは全くありませんが、純水なハチミツであっても、天然物だから100パーセント安全であるとは、必ずしも言えないんだよね。ハチミツを飲まされた赤ちゃんが、そのハチミツが原因で病気になつたことがわかった事件が以前に起こりました。

 それは蜜ハチが集めてくる花の蜜(または花自体)に空気中の雑菌が入り込んでいることがあるんだよね。普通のバイキンは、高濃度の糖液であるハチミツの中では速やかに死に絶え、生きてはいられない。しかし、芽胞を作っている細菌はハチミツのなかででも死なないで生きながらえているのです。

 水あめは、加熱して調整されるので、100パーセント純粋なハチミツよりは、水あめをたくさん混ぜた安いハチミツの方がもしかすると、確認はしていませんが、安全なのかもしれないね。

 消費者をだまかすのが上手な人が商売じょうずである世の中はオカシイよね。「ダマシじょうずは商売じょうず」を許してはいけないと思います。

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2007年5月16日 (水)

赤痢アメーバが攻めてくる

 BSEについては、もう少し考えたいことがあるのですが、同じ話題を連続させることを避けて、今回は「性感染症としての赤痢」を話題にとりあげます。

 国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、寄生虫病である「アメーバ赤痢」の感染者が日本国内で急増しているようです。

 1970年代までは、赤痢アメーバで汚染された飲食物の摂取または汚染地域を旅行した帰国者で発症するケースが多かった。

 ところが1980年代から感染者が増えはじめ、2000年に377人、2006年には747人の感染者が届けられている。この感染者の大半は、国内での感染で、性的接触でも感染し、男女間の感染が急増している。

 アメーバ赤痢は、アメーバに汚染されている飲食物や手指を介して口から体内に入って感染し、発症します。
 

 症状としては、腹痛や粘性の下痢などがあり、便に血液や粘液が混じります。重症なケースでは死にいたることもあります。

 一方、赤痢菌による細菌性の赤痢は、腹痛と水性の下痢がみられ、約41℃に達する発熱もあり、1日から2日もすると便に血や粘液が混じり、1日に20回を超えるほどの便通になるため、脱水症が激しくなることもあります。

 アメーバ性の赤痢も細菌性の赤痢もともに、糞便に汚染された飲食物や手指などを介して病原体が体内に入る『経口感染=糞口感染』です。汚いはなしですね。

 触らぬ神にタタリなし、クワバラクワバラ!?

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2007年5月14日 (月)

若いBSE牛の脳に感染性確認できず

キーワード:BSE 狂牛病 感染 マウスの実験

「バイキン博士のつぶやき」第一報は、予定を変更してBSEから始めます。

「21か月・23か月のBSE牛 感染性確認できず」

(平成19年5月9日、全国版の夕刊)

5月9日の夕刊の一面に大きく「21か月・23か月のBSE牛 感染性確認できず 厚労省研究班」という記事が掲載されていました。

厚生労働省研究班(主任研究者=佐多徹太郎・国立感染症研究所感染病理部長)の報告についての新聞記事は、つぎのように読みとれました。

2003年10月に茨城県で見つかった23か月のBSE感染牛と、2003年11月に広島県で見つかった21か月のBSE感染牛の脳の一部を採取して、感染性を証明するために実験動物のマウスの脳に注射した。注射された11匹のマウスは、約500日~900日間も生存し健康であった。これらのマウスの脳を別なマウスの脳に注射したが、現在のところ感染は確認されていない。厚生労働省は、この成績を食品安全委員会に報告して評価を求める方針、厚生労働省食品安全部では、「この実験結果がすぐに規制緩和につながるものではない」としている。 

 実験から得られた結果(=成績)は、実験の手技や方法に明らかな間違いが認められる場合は例外ですがそれ以外の場合、仮に自分に都合が良くない成績であっても、それを歪曲したり改ざんしたりしてはなりません。結果は、絶対なのです。しかしながら、その得られた成績をどのように解釈するかは、時として大いに問題となるところです。

今回の新聞に記載されているBSE牛の成績を読んだ人が、『BSE感染牛であっても少なくても23か月より若い牛の肉は人に感染しない、安全なのだ』と解釈してはならないのです。そのように断言できるだけの情報は含まれていないのですから。

 新聞記事からのみの情報では、今回の成績についは、『そのようなこともあるんだー』とはなりにくく、『そんなこともあるの?』となにか合点のえない印象が残ります。なにかがオカシく感じられるのです。なにがどのようにオカシイのかについては、考えをまとめる時間を少しください。次の「バイキン博士のつぶやき」に書きましょう。

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