感染 健康 つぶやき

2007年10月24日 (水)

薬害肝炎-エイズの二の舞

 何年かまえにも聞いたことがあるようなニュース;「厚生労働省の倉庫から患者の情報が記載された資料」が見つかったというのです。

 旧ミドリ十字製の「フィブリノーゲン」を注射された人達が、その注射が原因となってC型肝炎ウイルスに感染したのです。

 ミドリ十字が厚生労働省に薬害肝炎の情報を提出し、厚生労働省はこれを受け取った。その時点で可及的速やかにその事実を当該者に告知し、適切な治療をほどこせば、何人かの人は命を落とさずに助かったかもしれないのです。

 現実にC型肝炎ウイルスに感染している人達は、いまインターフェロンで治療を受けます、かなりの人は治っているのです。

 しかし、国民の健康を守るべき厚生労働省は、民間企業よりの立場をとり、血液製剤である「フィブリノーゲン」(新聞などにはフィブリノゲンと記載)でC型肝炎ウイルスに感染した人の情報は、存在しないと言い続けてきました。

 これは、国が感染した患者を見殺しにしたのと同じと考えられ、殺人行為と言われたらなんと弁明するのでしょう。

 厚生労働省は、薬害エイズ事件で知りながら何もしなかった「不作為」を問われました。あの裁判を契機に厚生労働省は、心を新たにして国民に奉仕する使命を学んだものと私は思っていました。

 ところが厚生労働省または担当者は、何もしないだけでなく、国民の命にかかわる情報をもっていながら、それを隠してしまったのです。

 これは明らかに作為的な蛮行と感じとられます。誰かが担当者に表に出すなと指示をしたのに違いなと思われます。

 さて皆さんの周りにミドリ十字製の「フィブリノーゲン」でC型肝炎ウイルスに感染してしまった人はいませんか。

 もし不幸にして親族、友人や知人に該当者がいたとしたら、どのように発言し行動しますか、本音を聞きたいと思います。

 肝炎ウイルスは一種類でなく複数存在します、そのなかの一種類であるC型肝炎ウイルスのような微生物に関する用語は、「微生物の用語解説」を開いて読んでみてください http://www.microbes.jp/dic/main.html

暮らしと微生物 < http://www.microbes.jp/aimai/aimai.html> は、生活に密着した話題を提供しています。

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2007年10月 2日 (火)

40年ぶりに新結核薬

 ベルギーのある製薬会社は、マウスを用いた実験で新しい抗結核薬(仮称R207910)が短期間で結核菌を除去できることを確認し、多剤耐性結核菌にも有効であると少し前のサイエンスに発表しました。

 結核菌を試験管内で増殖させる系にR207910を加えると、薬剤感受性株および薬剤耐性株の結核菌の増殖を抑制できたそうです。

 またこの新薬の殺菌活性は、マウスの実験でイソニアジドやリファンピシンの活性より高い値を示したとのことです。

 新薬R207910は、うれしいことに他の結核治療薬と異なる作用を持っているようです。

 今現在の抗菌薬は、細菌の細胞壁の合成、たんぱく質の合成、葉酸の合成、または核酸の合成を阻害するものです。

 ところがR207910は、高エネルギー物質であるATPの合成によりエネルギーを産生する細菌細胞の反応を阻害すると考えられているようです。

 このようなエネルギー補給を阻害して細菌に抗菌活性を発揮する抗菌薬はとても珍しいものです。

 薬剤に耐性を示す結核菌が増え、東欧と中央アジアの諸国に蔓延しています。特別に治療薬がないので患者は死をまつことになります。

 そのような時にベルギーの製薬会社が多剤耐性結核菌にも有効な新しい作用の抗結核薬を見つけました。

 これまで治療法がなくお手上げの多剤耐性結核菌にも有効とのことです、この新薬が一般に使えるようになることが待ち望まれます。

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2007年9月19日 (水)

ピロリ菌の発見

3.ピロリ菌の発見について
 1930年代に北里研究所の部長小林六造先生らによってイヌの胃にラセン状菌が存在している事が報告されていましたが、あまり注目されなかったようです。

 その後も胃には胃酸が存在するのでpHは極めて低い、そのため胃のなかで細菌といえども生息できる筈がないとの強い思い込みがあつたようです。

 J.B.Warren博士(病理学者)は、胃潰瘍や胃炎の患者の胃の出口(専門的にはpylorusという部分)にラセン状(helical)の細菌が多数集まり、そこで胃粘膜の炎症が起きていることを観察しました。

 Warren博士の研究に参加したMarshall教授は、1983年にそのラセン状菌Helicobacter pyloriの分離と純粋培養に成功しました。

 分離されたラセン菌が胃炎や胃潰瘍を本当に引き起こす力があるのかを確認したく、Marshall教授は培養した菌液を自らが飲むという方法で、この菌が胃炎や胃潰瘍の原因になることを証明しました。

 このMarshall教授の行為は、あまり褒められる方法でもないし、他人に強制もできない、ある意味では不常識な無鉄砲さが、ノーベル賞に輝く大発見に導きました。

 百年前にローベルト・コッホがコレラの原因となるコレラ菌を発見したとき、この説に反対を唱えた衛生学者ペッテンコーフェル教授が弟子と二人で培養したコレラ菌を飲んで、否定実験を試みました。

 結果は、コレラはコレラ菌により発症することを証明してしまいました。「絶対に間違いないとの信念や常識」は、時に大きな落とし穴を準備したり、逆に絶賛をあびる功績を残したりすることもあるようです。

4.胃ガンとの因果関係
 ピロリ菌は、注射針のような構造物を胃の細胞に刺し込み、細胞のガン化に関与が疑われている毒タンパク質(CagA)を注入します。細胞内でこのタンパクが酵素(SHP-2)と結合して、細胞の増殖異常を引き起こすようです。日本は胃ガンの最多発国で、毎年10万人ほどが新たに胃ガンと診断されています。

 世界的にこのピロリ菌は、分布していますが、胃がんの多い国(東南アジア諸国)のピロリ菌と胃ガン発生の少ない国(欧米諸国)のピロリ菌は、CagAと酵素との結合に違いがあることまで判ってきました。酵素を活性化する力が菌によって違うのです。

 日本国内では毎年約5万人が胃ガンで命を落としています。胃ガンの発症にピロリ菌の感染が決定的に重要な役割を担っていることは明らかとなっています。

 抗生物質の投与で除菌される可能性は、約85%と言われています。私は消化器内科の先生にピロリ菌の除菌をお願いして、三種類の抗生物質で治療して頂きました。ところが運悪く私の胃に生息しているピロリ菌は、抗生物質に強い抵抗性を示す性質であったため、最初の治療では85%の範囲に残念ながら入りませんでした。

 再度挑戦してようやくピロリ菌の感染から逃げ出すことが出来ました。

 私のような年齢になりますと、殆どの人がピロリ菌の感染を受けていても不思議ではありません。

 しかし、胃ガンは恐ろしい病気ですから、ピロリ菌の検査をうけて、運悪く胃にピロリ菌を飼っていると判明した人は、除菌の抗生物質による治療を受けられることをおすすめします。

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2007年9月17日 (月)

肥満とインフルエンザ

 米国ノースカノライナ大学の准教授らは、肥満マウスを用いたインフルザウイルスに対する感染実験を実施し、その結果を米国栄養学会で発表しました。口頭発表の抄録に記載されている内容の概要を紹介します。

 脂肪分と糖分の多い飼料と炭水化物を多く含む通常の飼料を5ヶ月間与えられたマウスを各35匹準備しました。

 脂肪分と糖分を多く与えたマウスの体重は、通常の飼料で飼育されたマウス35匹より体重が37%も増加し、体脂肪率は通常マウスの21%であったのに対して31%でした。マウスの成熟期である月齢5ヶ月の時点でインフルエンザウイルスを感染させました。

 ウイルスの感染した細胞を破壊するNK(ナチュラルキラー)細胞の能力を調べたら、肥満マウスのNK細胞は感染細胞を破壊する能力が50%低下していた。

 NK細胞は、インフルエンザウイルスの感染している細胞を破壊してウイルスの増殖を抑制することに重要である。ウイルスに感染した後の免疫応答は、サイトカインの産生から始まり、ウイルス感染の拡大を抑制し、Tリンパ細胞を活性化して、肺に到達したインフルエンザウイルスの増殖をさらに抑制する。

 このようにNK細胞は、免疫系にさまざまな働きを発揮する。抗ウイルス活性をもつインターフェロンのようなサイトカインと炎症性サイトカインに関係する遺伝子とタンパク質の発現において、大きな違いが認められた。

 感染初期にウイルス増殖を抑制するために重要な抗ウイルス活性をもつサイトカインは、肥満マウスで有意に低下していた。インフルエンザウイルスに感染した場合の死亡率について、通常マウスの死亡率が4%であったのに対して、肥満マウスの死亡率は40%でありました。

 米国では現在インフルエンザで毎年3万6千人が死亡し、11万4千人が入院している。インフルエンザがヒトの肥満に対してもマウスと同様な影響を与えている可能性が高いと准教授らは述べています。

 生活習慣により引き起こされる肥満は、さまざまな障害を呼び込むようです。米国で見かける肥満は、体重の増加量のみならず、脂肪の付き方まで驚くべき深刻な現象に見えます。

 そのため日本人の肥満とアメリカ人の肥満とを同じに考えることは出来ないかもしれません。肥満のどのような要因がウイルス感染を抑制するサイトカインなどの機能と関係するのかが良く解りません。

 またインフルエンザウイルスによるマウスの死亡率が意外に低い数値になっています。死亡率を故意に低い条件にしても肥満マウスの死亡率は高くなることを准教授らは証明したかったのかも知れません。

 私個人も体重増加を制御できないでいますので、他人に対して助言的なことは何も言えません。しかし、いずれにしても肥満には良いことは何もないと思えますから、是非ともコントトロールしたいものです。

新しい発見を求めて「理科好き子供の広場」開いてください  <http://www.microbes.jp/rika/rikastart.html> 

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2007年9月10日 (月)

3~4才児がインフルエンザ流行の発端

 米国の学術雑誌に興味ある知見が公表されています。その概略は、次のようです。

 米国のガイドラインでは、生後6~23ヵ月の乳児、65才以上の高齢者、病気や免疫不全のため感染リスクが高い患者らが優先的にインフルエンザのワクチンの接種を受けるべきとされています。

 ボストン小児病院とハーバード大学の先生方が行った2000年から2004年にボストン地区の人達が病院を訪れた情報を集計し、分析した調査結果が公表されました。

 それによると、インフルエンザを疑わせる呼吸器の病気で医療施設を訪ねてくる集団は、9月下旬頃から3~4才児の外来診療が認められ始めます。2才以下の乳児の来院は、それから1~2週間ほどあとでありました。更に、年長児がインフルエンザ様疾患で受診するのは10月に入ってからで、成人では通常11月初旬以降であったと述べています。

 この成績は、小児のクシャミが高齢者に死亡者がでる前触れとなることを示しているのです。同時にインフルエンザの流行を阻止するための対策の立て方を示唆していると思います。

 それは、インフルエンザに罹った者よりもウイルスを伝播する者に対策の焦点を当てることだと思います。
 

 この研究は、将来トリ由来新型インフルエンザウイルスによる流行の発生や拡大を予測するために重要な知見を提供していると私は思っています。

 トリインフルエンザが身近な人達の集団に侵入して来たとの兆しは、その集団の3~4才児がインフルエンザのような症状からわかるかも知れないと言うことです。

 3~4才児は、保育園や幼稚園に通いだし、ウイルスに対する免疫のない(または弱い)小児の混合集団なのです。幼稚園に通っているお姉ちゃんがウイルスを家にもって帰ってくる、そのウイルスを弟の乳児に手渡しするのです。

 幼稚園の3~4才児より年上の児や母親などは、多少抵抗力がありますから、少し遅れて発症するのでしょう。集団生活をする小児は、ウイルスにしては格好の餌のようなオイシイ集団なのでしょう。カゼに罹らないためには、体力を維持し、鼻や手を清潔にすることと思います。

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2007年7月31日 (火)

ピロリ菌の夫婦間の感染

 夫婦間の感染は、497組の夫婦を対象に検討しました。

 夫が交代陽性の妻の陽性率は64.0%であったが、夫が陰性の妻の陽性率は46.5%に比べ高かった

 同様に妻が陽性の夫の陽性率は288例中208例が陽性で陽性率は72.2%であつた。ところが妻が陰性の夫の陽性率は56.0%に比べ優位に高かった

 この九大の先生方の三題の調査結果は、

①ピロリ菌に対する免疫抗体の保有率(=陽性率)には地域差が見られたこと、
②成人では感染率が減少傾向にあること、しかし
③乳幼児では減少していないことを示している。さらに家族内感染では、
④母子感染および⑤夫婦間感染の存在が示唆されています。

 これらの結果から家族内感染の可能性がうかがわれますが、なにを介して感染が起こるのかはわからない。例えば母乳を介した母子感染の有無は、調査する必要がありそうです。

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2007年7月30日 (月)

ピロリ菌の親子間の感染

 128家族を対象に親子間の感染を抗体陽性率から検討しました

 子供の抗体陽性率は197例中25例で陽性率は12.7%でありました。

 ①このうち母親が陽性の子供の陽性率は21.6%で、

 ②母親が陰性の子供の陽性率は3.2%と低かった。

 ③一方、父親の抗体が陽性または陰性により子供の抗体陽性率に有意な差は認められなかった

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2007年7月29日 (日)

上下水道の普及率とピロリ菌の感染率

 慢性の胃炎やしいては胃ガンの原因となるHelicobacter pylori(ピロリ菌と略称)は、飲み水、糞便やと物などを介して経口感染により成立し、その後感染は持続するものと考えられています。

 九州大学の先生方は、福岡県と沖縄県の一般住民を対象にピロリ菌感染の調査を行いました。福岡県では2002年にH村271例(21~84歳)、K町3,310例(20~89歳)を調べた。沖縄県ではI市で1993年に成人218例(22~79歳)と乳幼児395例(0~6歳)、2002年には成人238例(20~79歳)と乳幼児253例(0~6歳)を対象に実施した。

 これより三題の話題は、この条件での結果です。

 上下水道の普及率の低いH村でのピロリ菌の感染を示唆する抗体陽性率は67.5%であり、K町の陽性率は55.0%とI市は54.7%に比較して有意に高かった。

 I市の1993年と2002年の抗体陽性率を比較すると、この10年間で成人では69.4%から52.5%へと有意に低下していた。乳幼児では9.6%と10.3%と差がなかった

 上下水道の普及率と感染率との関係は、糞便などを介した経口感染の可能性を示唆していると解釈されます。

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2007年7月20日 (金)

ピロリ菌の検査

 ヘリコバクター・ピロリ(正式名称はHelicobacter pylori、ここではピロリ菌と略称します)は、胃炎と胃潰瘍の患者から分離され、尿素を分解するウレアーゼと呼ばれる強力な酵素を持つ病原細菌です。

 強力なウレアーゼ活性を持つために、強酸性状態の胃の粘膜で、尿素を分解してアンモニアを作り、局所的にpHを中性に保ちながら増殖しているようです。

 ピロリ菌の感染経路は、よく解っていませんが、水系感染を主体とした経口感染でないかと考えられています。

 ピロリ菌は、胃炎、胃潰瘍や胃ガンの原因体と考えられています。そのためビロリ菌が胃に感染していることが判明すると、複数の抗生物質を服用して、除菌治療を受けることが多いと思います。1回の除菌治療で85%程度の人は除菌に成功するようです。

 さてピロリ菌の感染を受けているか、除菌に成功したのかなどを判定するには、色々な検査が行なわれます。例えば、培養して菌の有無を調べる培養法、小さな胃粘膜片を取り出してウレアーゼ活性を検出するウレアーゼ試験、アンモニアを検出する尿素呼気試験などがあります。

 これらの試験は、各々特徴がありますが、それが逆に欠点になることもあります。例えば、試験結果が得られるまでに数日の時間が必要な培養法、胃から粘膜片を取り出すためにはファイバースコープを挿入して組織片を取り出すウレアーゼ試験などです。尿素呼気試験は、痛みも苦痛もありませんが、小さなお子さんには不向きな点があります。
 
 欧米では数年前から糞便を用いてピロリ菌を調べる便中ピロリ菌抗原測定法が開発され、広く一般に用いられていました。

 日本国内ではこの検査法が診断法として認定されていませんでしたので、健康保険の適用を受けられないでいました。

 ところが平成15年2月にピロリ菌感染の診断と治療のガイドラインが改定され、便中ピロリ菌抗原測定法が診断法の一つに加えられ、平成15年11月に保険適用となりました。

 この便中ピロリ菌抗原測定法は、少量の糞便だけで検査ができますから、特に小児の検査にも便利に用いることができます。偽反応がでる確率は低く感度と特異性に優れています。そのうえ、迅速に結果が得られる特徴もあります。

 但し、除菌した直後には保留という結果が出やすいことがあるようです。除菌治療後はしばらく時間をあけて再度試験をすることが薦められているようです。

 これまで医療の現場では、診断を確実にするため、複雑怪奇な新型機器を用いる最先端医療の検査、特異性や感度は優れていても夕食から朝食までなにも飲食してはならない検査、患者に痛みをはじめ苦痛を与える検査などにシバシバ遭遇した経験があるかと思います。

 一つの例として、胃カメラと呼ばれる非常に優れた機器があります。一昔前までのこの機器は、多少太くて硬くてまっすぐな構造をしていました。これを胃まで挿入するのですから、患者さんにそれなりの協力と忍耐をお願いしていました。

 現在の胃カメラは細くて柔軟な素材から作られていますし、また麻酔薬の進歩もかさなり、眠っているうちに検査は終わっていることもあるようです。これからの医療の方向性の一つに、患者に与える苦痛を軽減するまたは苦痛を与えない検査や治療があります。

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2007年7月16日 (月)

針刺し事故によるC型肝炎対策

 C型肝炎患者の血液で汚染されている注射針による針刺し事故は、医療従事者にとっては大変に深刻な問題です。医療機関での針刺し事故は、けっこう珍しくないと聞きます。

 針刺し事故などによるC型肝炎ウイルスに曝露後の予防策としての薬物療法はいまだ存在しません。そのため毎月GOTやGPTなどのトランスアミナーゼ値を測定し、数週間に1回ウイルス(核酸)検査を行なって経過を観察します。

 C型肝炎ウイルスの核酸RNA検査が連続して2回とも陽性であることが確認されたら、少なくとも医療従事者には抗ウイルス療法を適用すべきと考えられます。

 14例の針刺し事故による感染例で、ペグインターフェロンを毎日1回の投与を4週間継続した。その後20週間は毎週3回の割りでインターフェロンを投与した。治療終了から6ヵ月後には、C型肝炎ウイルスのRNA値が検出限界以下となり、GPT値は正常化していた。

 約4年間の追跡調査を行なったところ、肝炎の症状を認めた例は無く、全例でC型肝炎ウイルスのRNAは陰性で、ウイルス抗体価も低下していた。

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2007年6月13日 (水)

ウジ虫で傷口の治療

 少し気持ちの悪い話です。ウジ虫が傷口の治療に有効だとするウジ虫治療の話しを紹介します。気持ちが悪るいなとどと言わないで、最後までお付合いください。

 米国バージニア州のある研究財団の博士らは、手術後に起こる傷口の細菌による感染を予防する手段として、ウジ虫を用いると感染を減少できたと発表しました。今回の論文の概要を記します。

 そもそもウジ虫が病巣に有効であることに気付いたのは、数世紀もの前の軍医達であったようです。

 戦場で負傷した兵士の傷口にウジ虫つき、その部分は細菌の感染を受けなかったり、感染による異臭が少ないなどの有益なことをみていたようです。

 現在臨床で使われているウジ虫による治療法は、1920年代から開始され、今現在では世界中でかなり多くの医療施設で実施されるようになりました。

 細菌に汚染された切り傷などの腐敗した組織を取り除いて、正常な組織を露出させる治療行為は、外科的には実施が可能です。

 しかし、卵の段階から無菌化されたウジ虫を用いる治療法には、幾つかの利点があります。

 傷口に細菌を持ち込まない、ウジ虫は死んだ組織を好んで食べる、ウジ虫は生きている正常な組織は食べない、抗菌性物質を作っているらしい、創傷部の治りが早い、その結果として感染の発生を低下させているのだそうです。

 典型的な無菌ウジ虫による治療は、1回にウジ療法を2日間から3日間、それを週に2回実施することがおおいようです(1週間に4日間から6日間)。

 ある病院で実施されてきたウジ虫による療法の治療結果を調べてみました。

 手術を受ける3週間前に無菌ウジによる死んだ組織を取り除く治療を行なった10か所の切り傷には細菌感染は起こらなかった

 ところが同じ時期にウジ虫治療を受けなかった19か所の切り傷では32%に細菌による感染が起こっていました。この細菌感染がMRSAなど抗生物質に抵抗性の細菌によるものでは大変なことになる可能性があります。

 多くの患者は予想していたよりウジ虫の治療を容易に受け入れました。患者の反応は薬剤投与よりもよく良好でしたが、外科医はなかなか実施に踏み切れないことが多いように見受けられました。

 無菌ウジ虫療法を妨げる要因は、外科医の問題ではなく、かかる費用の問題だそうです。無菌のウジ虫の生産費用は高くないのですが、ウジ虫は非常に死滅し易く、貯蔵や保存ができないのです。そのため毎日新たに生産しなくてはならないから高くなると言われています。

 無菌ウジ虫による治療の特徴は、死んだ組織を取り除き、傷口の細菌を消化して殺し、傷口の臭気を減弱させ、傷の痛みを和らげることとあります

 今回の報告でもほぼ同じようなことが記載されています。死んだ組織部のみをウジ虫が食べているのだとすると、ウジに食われている感覚は多分ないのでしょう。

 ITの時代にウジ虫の使用は、現代医学との奇妙な組み合わせと思われます。

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